2013年5月7日火曜日

端午の節句 柏餅と粽/調味料歳時記

「端午の節句」にいただく「柏餅」。柏餅は歴史的には江戸時代の徳川幕府、第9代将軍家重・第10代将軍家治あたりに登場します。「柏」は、古来から神聖な木とされていて、新芽が育って出ないと古い葉が落ちない。ということから、家系が途絶えない・子孫繁栄に結びつけ、端午の節句の縁起の良い食べ物とされたそうです。

当初あんの中身は「塩あん」でしたが、江戸時代後期には「小豆あん」「味噌あん」も知られるようになりました。そのなかでも『味噌あん』、これは砂糖が広く使われるようになる以前の名残りです。その原型は平安時代の「葩餅(はなびらもち)」だと伝えられ、さらに古くなると奈良時代の「伏兎(ふと)」と言われたようです。本来は柏の葉を表に包むのが味噌あんで、裏を外側にすると小豆あん入りというのが正式。白あんに白味噌を加えた味噌あんは、東京を中心とした関東地方と、白味噌の食文化圏である京都での定番で、全国的ではありません。なお、柏の木は関西以西には自生していなことで、種類の違う葉を使うことがあるようです。

つぎに、同じく「端午の節句」にいただくものに「粽(ちまき)」があります。こちらは平安時代に中国からの伝来、屈原(くつげん)という詩人の方の悲しいお話が中国で言い伝えられています。粽を食べる風習は柏餅より先に全国へ広がっていたものの、柏餅の出現により、幕末には関東が柏餅、関西が粽となりました。実は今回、下記の粽の写真を用意するため、地元を数件回ったものの扱ってなく、羊羹で有名な虎屋さんで予約して入手したほどでした。関東では手に入りにくいことが今回改めて知り得ました。

最後に菖蒲も端午の節句には欠かせません。菖蒲には、古来から邪気を祓うと力があると信じられていたことに関係があります。さらに柏餅も登場した江戸時代は武家社会ですから、「菖蒲(しょうぶ)」が武を重んじる「尚武(しょうぶ)」を同じこと読みから尚武の節句としても祝われるようになりました。男の子の「端午の節句」と同じように女の子の「桃の節句」も謂れや風習が多く残っていますね。当時は、子供達がすくすくと成長していくことが今のようではなかったでしょうから、子供達の成長を祈って節句を祝うということはとても大事なことだったのでしょう。

2013年6月1日(土)つくばエクスプレス/流山おおたかの森駅前にて森のみりんマルシェというイベントを開催。そのイベントにおいてみりんのワークショップを担当します。流山市・森のマルシェのfacebook『調味料歳時記』というコラムを執筆しています。このブログと相互リンクされていますのであわせてご覧ください。
http://www.facebook.com/morinomarche

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